東中野「MISSION POSITIVE vol.1」ライブ | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

4月4日(金)

東中野の地下にある「東京刑務所」(プリズントーキョー)にはつぎつぎと囚人たちが護送されてくる。
退屈な囚人生活を送る徒刑囚には娯楽が必要だ。彼らと同じ囚人であるAKIRA with Johnny、志田歩&Teszerが「MISSION POSITIVE」という音楽会を催すと聞きつけ、全国から80人もの囚人たちが東京刑務所に結集した。
0804MP観客photo by MOMO

入り口ではネアリカという毛糸絵画がおかれている。黒い闇のなかにハート形をした穴が開いていた。ネアリカ公募展で金メダルと銀メダルを獲得した夫婦ヒデとサチが今朝5時までかかってつくりあげた作品だ。囚人は心に傷を抱えている。ハートにマシンガンを打ち込まれたような穴が開いているのだ。入場した囚人は闇の心にぽっかりあいた穴を美しい毛糸で埋めていく。
0804MPネアリカphoto by MOMO

司会のコーチは監獄内で体を鍛えたボディービルダーである。波乱と挫折に満ちた人生を囚人たちに語りかけた。
0804MPコーチphoto by MOMO

もっとも刑の重い志田歩、AKIRA、Johnnyの3人が対談する。彼らは囚人のなかでも恐れられる荒くれ者である。
「おれたちゃあ、くだらねえ能書きたれてるひまはねえ。早く歌をうたわせろ! だろうがよう、みんな?」
ウオオーウ。
囚人たちから大きな歓声が上がる。ただでさえストレスをためこんだ囚人たちだ。今日の異常な熱気は暴動に発展する恐れがある。
0804MP対談photo by MOMO

ステージのうしろは煉瓦塀におおわれ、スプレーペイントの殴り書きが散らばる。そこに登場したのは最強のロックバンド、志田歩&Teszerである。やつらはいずれも腕っ節に自信がある猛者ばかりである。
最後のライオン志田歩のボーカルが吼え、伊藤孝喜(ソウル・フラワー・ユニオン、NOWHERE)のドラムスが地母神をたたき起こし、久保昭二のギターが凶暴な唸りをあげ、QREのベースがハートビートを刻み、加藤志乃ぶのコーラスが女神を降臨させる。
心臓をわしづかみにするようなサウンド、矢のように突き刺さる歌詞、会場の熱気はいやがおうにも高まっていく。
0804MP志田歩photo by MOMO

囚人たちの熱い視線を受けて登場したのがニューヨークの留置場にいたAKIRAと裏街道まっしぐら人生を歩んできたJohnnyである。
とくにやくざなドラマーのJohnnyはスキンヘッドにハンチング、スネークスキンのサングラスと、ワルそのものだ。ステージで酒は飲むは、タバコは吸うわ、マナーの悪さにも定評がある。
そのワルが今日は「心がくしゃみをした朝」でピアニカを吹き、「Hello my mom!」でタンバリンをたたいて踊りまくった。
「Johnnyさん、かわいいー!」黄色い声援が飛ぶ。
AKIRAが全身全霊で歌ううしろで無邪気に遊びまくるJohnny。
0804MPジョニーphoto by MOMO

「ファック、このままではJohnnyにぜんぶおいしいところをもっていかれてしまう」
数々の修羅場を踏んできたAKIRAは作戦を変え、夫婦漫談のツッコミに徹した。ボケ役Johnnyはいじられまくるのが大好きなのだ。
会場は爆笑の渦と化し、歌ではみんな涙を流すというありえない事態になってきた。
0804MPアキラphoto by MOMO

1. パズル
2.Walking in the rain
3.心がくしゃみをした朝(Johnny:ピアニカ)
4. ミタクオヤシン
5.Hello my mom!(Johnny:タンバリン)
6.「神の肉」朗読
7. 背中(AKIRA:ピアノ)
8. 家族
9.祝福の歌
10.だいじょうぶマイフレンド
11.今日は死ぬのにもってこいの日だ
12.Happy birth day(アンコール:志田歩、伊藤孝喜、加藤志乃ぶ)
0804MPハッピバースデイphoto by MOMO

みんなからは「まさに笑いあり、涙ありのステージでしたね」とか、「Johnnyさんとの漫才コンビ、最高でした」とほめられた(そこじゃねーだろ!)。何度もオレのライブを見たヒデいわく「今日はベストステージでした」と感激し、オレも120%の力を出し切る大満足のライブだった。

人はみな囚人である。
肉体、社会的役割、習慣、常識、道徳などという牢獄に幽閉されている。
今回のMISSION PISITIVEはそこから一歩踏み出す力になったと思う。
自分の殻をやぶって外へ出てみると、
こんなに美しい世界が、
こんなに素敵な仲間たちが、
待っているんだ。

胸をえぐるような本物のロックを聞かせてくれた志田歩&Teszerも、打ち上げでは気さくな仲間たちに変わる。
プリズン東京の音響星さんはじめ、スタッフの対応もすばらしかったし、
MISSION PISITIVEスタッフ、もも、美雪、まいこ、かおり、ゆかり、はるか、ビデオの須藤さん、ネアリカのヒデ&サチ、司会のコーチ、心からありがとう。
そしてさまざまな苦労を重ねながらもこのイベントを大成功に導いた環樹さんに最大の拍手を贈りたい。
「みんなが美しい笑顔で輝いた瞬間をつくってくれてありがとう」
第一回の大成功で早くもいろんなオッファーがはいってきている。
「AKIRAが各界の著名人に対談を挑む」というのやら、北海道をはじめ全国規模でMISSION PISITIVEライブが展開されるという。とりあえず決まっているのが、7月5日(土)吉祥寺STAR PINNE’S CAFÉのライブイベントだ。
さあ、おもしろくなってきたぞー。