「月の庭」祈りライブ | New 天の邪鬼日記

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8月3日(日)三重県亀山「月の庭」ライブ

日本で唯一のチベット寺「チャンバリン」(名古屋市守山区吉根階子田3161-6)へいった。
名古屋の町なかにそびえるチベット寺があるとは目を疑う風景である。
チベットからやってきたラマ僧3人が町に出かけるところに偶然にも立会う。オレがラサのジョカン(大昭寺)で凍死しそうになるところをチベット人がオレにおおいかぶさって一晩中暖めてくれた話をすると、白い絹の布「カター」をかけて祝福してくれた。
080803tibetphoto by SAFORI

山伏父さんが師事している女性住職、森下永敏さんは、本山修験宗の「倶利加羅不動寺」と「チャンバリン」のふたつの寺を建立し、日本人唯一のラマ僧でもある。
男でも困難な荒行をやりつくし、チベット僧からもっとも慕われる住職の笑顔は、この世のものとは思えぬほどやさしかった。
080803morisitaphoto by SAFORI

名古屋のピアニスト・ノリちゃんの車で三重県亀山にむかう。
約1年ぶりの月の庭ライブだ。
月の庭のオーナー、マサルさんが膀胱ガンで倒れた。
ガン自体は数年前からわかっていた。マサルさんは「踊り療法」なるものを宣言し、突然舞踏家デビューする。新宿ロフトプラスワンや月の庭でオレとコラボしたり、韓国公演までおこなうという精力的な活動ぶりだ。
しかしガンはじょじょに進行し、腎臓を摘出する。絶え間なく襲ってくる全身の痛みに起き上がれない日がつづく。
「マサルさんのために祈ろう」と大阪のノンチがライブを主催し、オレが呼ばれた。
マサルさんの旧友ヒデとサチも東京から夜行バスやってきた。ヒデはマサルさんに捧げるネアリカをつくってきたのだ。
080803nearikaphoto by MIYUKI

マサルさんの奥さんカオリさん、スタッフのシュンスケ、コウタ、アコ、なつかしい仲間と再会する。驚いたことに沖縄ライブを何度も主催してくれたミウまでいるではないか。ミッションポジティブの環樹さんや美雪も東京から新幹線でやってきた。
一年ぶりに会ったマサルさんは少しやせていたが、目は死んでいない。うちの母親と同じように尿道にチューブをつながれ、あまり食べることもできず、10日以上も便通がないという。
この日もマサルさんは痛みで起き上がれず、自室で寝ながら歌を聴くことになった。
マサルさん自身は「おれのために祈ってもらうなんてこっ恥ずかしい」と言っていたが、オレはマサルさんが会場にいないのをいいことに、観客たちに祈りライブの趣旨を説明し、みんなでマサルさんのために祈ってもらうことになった。
080803kankyakuphoto by MIYUKI

セットリストも全曲マサルさんに捧げる曲のみである。

1、 雲のうえはいつも晴れだから
2、 Walking in the rain
3、 ぬちどぅ宝
4、 祝福の歌
5、 いたいのいたいのとんでけ
6、 パズル

マサルさんの痛みはガンの鎮痛剤では効かないという。むしろ神経痛に近い強烈な痛みだ。この痛みを少しでもやわらげたいと祈りながら歌った。後半から心強い仲間ピアニストのノリちゃんが参加し、オレは思いっきりボーカルに専念できる。
080803akira2photo by MIYUKI

7、 ソウルメイト
8、 Unconditional love
9、 背中
10、 「神の肉」朗読
11、 Life is beautiful
12、 家族
13、 終わらないキスをしよう
14、 祈りの歌(アンコール)
080803akira1photo by MIYUKI

蝉時雨がまるでオレの歌に呼応すように合唱する。Aメロは静かに、Bメロから上げていき、サビでいっせいに盛り上がる。おもしろいくらいぴったりと寄り添うので会場が笑ってしまうほどだ。曲が終わると拍手の直前に犬たちが吠える。拍手のあとには風が吹きすぎて、暑い会場を冷やしてくれる。月の庭に集まった仲間たち、生き物たち、自然まで一体となって、マサルさんの健康を願っているようだ。
みんなたっぷりと汗を流し、涙を流し、なにか神聖な気持ちになるライブだった。
080803kanshaphoto by MIYUKI

1階に降りてタバコを吸っていると、マサルさんがトイレにあらわれる。
「アキラ、ありがとうー。10日ぶりにウンコがでたぜー!」
おおっ、祈りは便秘にも効くのか!
マサルさんのこの力強い目を見よ。
080803masaru

この男はまだまだ死神にはもっていかせない。まだまだ命の喜びを人々に伝えてもらわなくっちゃ。

080803kinen後列左からマサル、AKIRA、ヒデ、前列左からノリ、サチ、カオリさん(マサルさんの奥さん)