ネアリカの種 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 ひさびさのネアリカだ。
 祈りプロジェクトでガンから生還した明子さんは、50歳で早稲田大学に入学した。ジェネレーションギャップなどどこ吹く風で、サークル活動をエンジョイしている。
 文学部の「ぶんぶーん」、「FOCUS」というサークルで卒業制作にネアリカをやることになったのである。
 ネアリカとは、メキシコ山岳部に住む先住民ウイチョル族のつくる毛糸絵画で、シャーマンがヒクリ(ペヨーテ=幻覚サボテン)を食べて見たヴィジョンを、極彩色の毛糸で描く。
 オレは2002年から2003年にかけて11枚のネアリカを延べ550人のボランティアといっしょにつくった。明子さんは第一回目からきてくれた常連である。
 ネアリカの共同製作というのは人と人の輪をつなげる。我が家で同じ飯を食い、同じ毛糸を貼り、ひとつの作品を完成させる喜びを共有できるのだ。
 しかしいきなりメキシコ先住民の毛糸絵画と言われてもピンとこないだろう。とくにネアリカはウェブの写真で見るのと、生で見るのとはまったくちがう。
 百聞は一見に如かずと、明子さんは5人の大学生を連れて日光へやってきた。
 ユウヤ、マユ、ナオ、アサミ、フミはうちへはいると、歓声をあげてネアリカに見入った。それほど2メートルのキャンバスに描かれたネアリカはインパクトがある。ふだんは梱包されているネアリカをつぎつぎに出し、そのたびに驚きの声があがる。
 いいぞいいぞ、みんな素直で熱いやつらだなあ。
 さっそく今日つくる作品のモチーフをクレヨンで描いてもらう。みんな文学部なので絵を描くのなんてひさしぶりだ。はじめはとまどっていたものの、全員が熱中してくる。
 デッサンもやったことないだろうし、絵が趣味なんてやつもいないのだが、それがまたいいのよ。ふだん気づかない無意識が浮上し、個性的な作品群が仕上がる。
 世の中に絵の描けないやつなんかひとりもいない。ただうまく描こうとするから描けなくなっちゃうの。
 ユウヤは富士山の影と光、マユは男女の結び合う手、ナオはネイティブアメリカンのような虹の種、アサミは噴射するように伸びる木、フミはサイケデリックなタコを描いた。
 いやあ、びっくりしたね。こいつらただもんじゃねえわ。
 オレは彼らの作品を組み合わせ、2枚の8号キャンバスに下絵を描いた。1枚目は造形センス抜群のナオが描いた「虹の種」をベースにし、2枚目は色彩センスのすごいフミの描いた「タコ」をベースにした。
 3人ずつに分かれ、貼りはじめる。1時間の授業でも座っているのは退屈なのに、はまるはまる。みんな指を木工ボンドでベタベタにし、遊びに夢中な子供のように集中する。
 オレもはじめは傍観していたがみんながあんまり楽しそうに貼っているので、ついつい参加してしまう。
 なつかしいな、この感覚。
 ついに、誰もが予想すらできなかったすごい傑作が完成しちゃいましたー!
0608早稲田

 秋にはオレもネアリカ講師として早稲田に招かれ、講演会やライブをやる。なんかネアリカの神様がオレたちをあやつり、大地と調和して生きてきたウイチョル族のメッセージを世界へ広げようとしてるような気がするな。

 つい3日前に広島から帰ってきたと思ったら、また明日から宮城へ出発しなければならない。
 忘れないようにスケジュールを書いておこ。

★8月12日(土)日光を早朝6時に出発。
 宮城の障害者施設でアフリカン太鼓・サバカンとミニライブ。
★8月13日(日)ONSENS蔵王ライブ ロックオペラ「BRAVE HEART」えずこホール
 8月15日(火)仙台から20:00のフェリー。
 8月16日(水)苫小牧へ10:45到着。アイヌモシリ一万年祭へ。
★8月17日(木)アイヌモシリ一万年祭でソロライブ。(夜)
★8月18日(金)札幌澄川「平庵」にてソロライブ。(17:00~)
 8月19日(土)誕生日
★8月20日(日)札幌東区「フリースペース黒豆」にてソロライブ。(17:00~)
 8月21日(月)未定
 8月22日(火)苫小牧から18:45のフェリー。
 8月23日(水)大洗へ14:00到着。
 ※くわしくは音楽ページへ。

 さあ、どこで君に会えるか?
 熱い夏がはじまる。