ヨウコ来日! | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 ついに真打ちが登場しましたよ。
 ヨウコは13:55の飛行機で羽田に着いた。車で迎えにいったまゆみさんと連休渋滞に巻きこまれながらも6時過ぎ日光に到着。
 オレとハルカは色紙リングで部屋を飾り、ピーチとラズベリーのケーキをつくった。美雪がなまけもののパンと畑を手伝いにいっている有機野菜をもってきてくれた。加蓮の送ってくれた無農薬野菜はハルカがオーブン焼きとスープをつくり、むっちゃ豪華なベジタリアンメニューがそろった。
 ハイビジョン鈴木もあらわれ、ヨウコ歓迎パーティーがはじまる。
 オレたちはヨウコに折り紙の王冠をかぶせ、ハイビスカスの造花を首にかけ、これからオレたちの師となる勇者を迎えた。
0611ヨウコ歓迎パーティー

 ヨウコはくるまえに「あまりたくさんの人に会うと疲れてしまう」というメールをよこしたが、つぎの日にはこう書いてきたんだ。

人に会うことは愛を受け取る修行だと気がついたよ。
拒否していてはこれまでと同じだね。
いろいろよろしくおねがいします。(以上抜粋)

 なんかすごいたくましくなってきたなあ。最近のヨウコは覚悟ができたというか、ひとから励まされる病人から、逆にひとを励ますシャーマンとなりつつある。
 ハルカなんか、ついこのまえも2粒が致死量のナツメグを5粒も呑んで自殺未遂してる。何度死のうとしても死ねないほど健康なハルカと、生きるために病気と闘うヨウコの組み合わせも……おもしろい。
 ふつうはハルカに「生きたくても生きることができない人がいるのに、自殺なんて甘い」とか説教するのだろうが、痛みは本人しかわからないものなので、比べること自体がナンセンスなのだ。
 いっしょに美味しいものを食い、バカ話に笑いころげながら、お互いから学んでいけばいい。
 ひとりひとりの存在自体が最高の教科書だし、必然としての出会い自体がもっとも必要な学びを与えてくれるよう運命は仕組まれてるから。

 爆笑宴会は4時過ぎまでつづき、最後に祈った。
 ヨウコを寝袋を枕に寝かせ、オレが乳ガンの上に手をあてる。たしかに野球のボール大の硬いしこりがある。オレの手の上にひとりひとりが手を重ね、それぞれが心のなかで祈る。オレはこんなことを思った。
「ガンちゃん、ガンちゃん、オレたちにたくさんのことを学ばせてくれてありがとう。
 皮肉なんかじゃなく、マジ心からガンちゃんに感謝してるよ。
 ガンちゃんががんばってくれたから、ヨウコは沖縄で直らず、ここにきたんだ。
 ガンちゃんがヨウコをここに連れてきてくれたんだね。
 マキにヒカルさんがいる。久子さんに茉莉をはじめ子どもたちがいる。ツネちゃんにはダイをはじめあたたかい家族がいる。
 ヨウコは離婚して、病気を親にも相談できず、ずっとひとりぼっちだった。
 でも今ヨウコはたくさんの「魂の家族」たちとつながろうとしている。
 かたくなに守りつづけようとした孤独が、溶けはじめている。
 ひとりぼっちの人間なんか存在しない。
 ただみんな記憶喪失になってるだけなんだ。
 それを思い出させてくれたのも、ガンちゃんのおかげだよ。
 もしかするとガンちゃんは、とんでもないことをオレたちに教えようとしてるのか?
 人類が何百年もかけて葬り去ってきた「心のチカラ」、
 それをオレたちの目ん玉をひんむいて見せつけつけようとしているのか?
 どんな結果がこようとオレたちは目を反らさない。
 だからガンちゃん、さらに大きな学びを与えてくれ。
 ヨウコの孤独が溶け、
 オレたちの孤独が溶け、
 すべてのものがつながる奇跡を、
 オレたちに見せつけてくれ。
 そして最後に……
 笑わせてくれ」

0611ヨウコのズラ
 ヨウコのズラかぶっちゃいましたー!