僕を生んでくれた神様 | New 天の邪鬼日記

New 天の邪鬼日記

小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

オレは無数の本を読んできたし、自分でもたくさんの本を書いてきたが、
これほど美しい文章に出会えたのは、
生まれてはじめてだ!

「天国への手紙 ”僕を生んでくれた神様”」(2008年10月12日 16時42分56秒)


先月の27日夜8時45分、大好きだった母がこの世を去った。

ずっとずっとこの日が来ることを恐れていた。

あなたがいなくなってしまった世界を、あなたがいない家族を想像することが怖かった。

考えただけで自然と涙が溢れ出してきて止まらなかった。

友達といるよりも家族といる方が心が安らぎ、幼い頃から好きな女の子の相談や学校でどんなに嫌なことがあってもお母さんにだけは素直に話すことが出来たんだ。

大好きだったこの家族は僕にとって何よりも一番大切なものだった。

お母さん、あなたはきっと自分の最後となる時をすでに分かっていたんだろうね。

脳に19ヶ所も癌の腫瘍が転移していた為に、記憶はおろかほとんどまともな会話も出来ない中で、その日は朝からかすれるようなおぼつかない口調で何度も何度も”おふろに入る”そう言っていたね。

最初は歩くことも出来ない今になって何故お風呂なのか分からなかったけど、切実に何度も訴えるその目を見た時に分かったんだ、あなたはもう自分が長く生きられないことを察して、この世を去る前に身を清めて綺麗な状態で逝きたかったんだね。

その気持ちを察した兄貴は急いで花屋へと走った。

そして抱えきれないほどの色鮮やかな花々を買ってきては、湯舟がいっぱいになるまで花びらを浮かべた。

それはどんな一流ホテルのお風呂にも劣らないものとなったことだろう。

もうまともに歩くことも出来ない母を父と兄と3人で担ぎ、花びらでいっぱいの湯舟に入れてあげると、母は目をつぶったまま安心しきった顔をして、お湯を手ですくっては気持ち良さそうにぴちゃぴちゃと体にかけていた。

“お母さん、幸せ?”

そう尋ねると、母は目をつぶったまま、嬉しそうにこっくりと頷いた。

俺たちもズボンを捲り上げ、びしょ濡れになりながらお母さんの体を洗ってあげた。

お母さんの為に、今朝張り替えたばかりの畳の部屋で、たった今届いたばかりの介護ベットに寝かせてあげると、天井を見上げて、ありがとうと言っているかのように嬉しそうに微笑んだ。

そして視界のどこかに僕や兄貴、家族の誰かが入ってくるとやせ細った腕を伸ばして僕たち家族を求めたんだ。

その小さくなった手をぎゅっと握り締め、お母さんの傍らに座り途切れた意識に向かって一生懸命に気持ちを伝えた。

“お母さん、大好きだよ”

途切れた意識の中で、それだけの言葉がお母さんのもとに届いたかは分からない。

でも僕らは心をこめてお母さんの心に触れようと心の底から必死に伝えた。

時折、瞳孔が開くほどの大きな瞳をして僕の眼をじっと見つめた。

そして何かを確認するかのように力強く頷いた。

そして再び、満足そうな顔をして深い意識の世界へと帰っていく。

それは一体何を伝えようとしていたのだろうか?!

“洋見、もうあなたは一人でも生きていけるわよね?!”

僕には母がそう言っているように思えた。

僕が力強く頷くと、母は満足そうな顔をして再び深い意識の世界へと戻っていった。

まるでマリア様のように美しく、穏やかな顔をして眠るお母さんの傍らで、手を繋ぎまるで恋人みたいに肩を寄せ合って眠った。

いったいこうして一緒に寝たのはいつ振りだろうか?!

張り替えたばかりの畳のい草の香りと共に、甘酸っぱいお母さんの匂いがした。 

夢うつつの中、幼い頃からのたくさんの思い出が頭の中を通り過ぎで行った。

僕が生まれるずっと前、お母さんはお父さんと出会い、恋をして、命をふり絞って僕をこの世に産み落としてくれた。

僕は明るい世界にびっくりして泣き叫び、お母さんとお父さんは泣きながら微笑んだ。

あなたは僕を生んでくれた神様なんだね。

あなたがいてくれたから、僕は今ここに生きている。

ありがとうの気持ちでいっぱいになり、涙が溢れ出してきて、頬を伝って僕達の握りしめた手の中に落ちていった。

あなたはいつも好き勝手に自由に生きてきた僕を信じて、いつも見守ってくれていた。

僕がリングに上がる度にあなたは欠かさずに見に来てくれて、声が枯れるまで必死に応援してくれていたね。

時にはボコボコに殴られて血だらけになる我が子の姿を見ることは親としてどんなに辛く、勇気がいることだったか?!

でもいつも目をそらさずに見守ってくれていたね。

顔を水につけることも出来なかった母が38歳で水泳を習い、その数年後にはインストラクターとして障害を持つ子供たちに先生とまで呼ばれるようになった。

50歳から世界のフルマラソンやトライアスロンに挑戦したり、60歳を過ぎてから僕に負けじとキックボクシングを始め、“アッパーが上手くいかないのよねー”と僕たちを驚かせた。

夢を持つこと、そしてその為に努力することをいつも子供たちに教えてくれていた。

僕はいつも自慢気に汗を拭いながら嬉しそうな顔で笑う、そんな母を見て育った。

こんな時になって、はじめてあなたが僕達に何気なく当たり前のようにしてくれていた大きな愛に気がつくなんて。

僕は一体どれだけあなたに返すことが出来たのだろう?!

今はただありがとうという気持ちでいっぱいだよ。

そんな元気だった母が2年半前、体調不慮を訴えて緊急入院

診断の結果、末期の大腸癌と診断された(その時行った祈りプロジェクト )

手術をしても取り切ることが出来ず、2年以上生きる確率は20%

家族みんなが絶望の深い暗闇の中で必死に苦しみに耐えていた。

しかし、誰一人として諦める者はいなかった。

それは僕達兄弟が幼い頃からお母さんから教わったこと。

この2年半の間、お母さんは本当によく頑張ったと思う。

2週間に一度、抗がん剤の副作用と戦い、打った2、3日はベット上でもがき苦しんだ。

真っ青な顔をして苦しそうな唸り声を上げながらトイレで吐いている後ろ姿を見るのは側にいて辛かった。

何も出来ずにただ励ますことしか出来ない自分が悔しかった。

しかし、その時期を過ぎると、動けなかった時間を取り返すかの如く、突き付けられた運命を必死に乗り越えようとするようにスポーツジムで汗を流し、40キロもの距離を自転車で走ってきては、

“土手にひっそりと咲く花々が今日は綺麗だったのよ。癌にならなかったらそんなことにも気がつかなかったかもしれないわ”

そう嬉しそうに僕に話してくれた。

その時、人生は苦しいこともたくさんあるけど美しいと思った。

”私は母親から愛されたことなんかない!!”

兄弟3人とも同じように愛を受け育てられたはずなのにねえちゃんにだけはその愛が届かなかった。

愛がねじれてしまうままに、本当は大好きなはずの母親を恨み続け、一人孤独に生きてきたねえちゃんだったけど、母をそして父をも襲った癌の宣告を前に必死で乗り越え、ようやく僕たち家族は許し合うことが出来たんだ。

今年の6月、生まれて初めて一人も欠けることなく家族全員が揃った沖縄旅行。 <沖縄の写真>

この旅行を機に、母は抗がん剤を止め、父は家族との生きる喜びを再確認し、旅行後すぐにある手術へと望む。

どこまでも透き通る青い海、シュノーケリングをして家族全員で見たマンタの群れ、与那国島の崖の上、満月の月明かりの下で祝った兄貴の誕生日、

馬の背にまたがり、足のつかない真っ青な海をみんなで一つになって島から島へと渡った。

母さんとお父さんの体をみんなで気遣い、泳げない姉ちゃんをそれぞれが支え、お互いがいたわり合って、ほんの小さな亀裂から始まった取り返しのつかないほどの大きな溝を、大きな愛で満たしていくようだった。

僕たち家族は長く険しい旅を経て、ようやく一つになることが出来たんだ。

自宅のベットの上で家族全員に見守られながら、お母さんは幸せそうに大きなあくびを3回した。

”もう眠いよ~~”

まるでそう言っているようだった。

そして荒い呼吸が数回続き .......

        呼吸はぴたりと止まった

“おかあさん??!” 

    ”おかーさん?!” 

         ”おかぁーさーーーーーん!!”

溢れ出す悲しみを必死に抑えてみんな心の底から叫んだ。

“お母さん、大好きだよ”

“お母さん、いつも傍にいてくれてありがとう”

今までそんな気持ちを絶対に口にしたこともないお父さんが必死に叫んだ

“お母さん 愛しているよ”

僕はその言葉を一生忘れることはないだろう。

まさか…

その想いに応えるかのようにほんのわずかだがお母さんの呼吸が戻った。

心なしかお母さんが微笑んでいたように僕には感じた。

いつ止まってしまうかもしれない命の鼓動、一呼吸一呼吸に生きていることへの奇跡を感じる。

おっきな愛で満たされた空間の中、数回の荒い呼吸の後、口から何かが抜け出たようにぽっかりと口を開いたまま呼吸は止まった。

何度も何度も呼びかけても、今度は帰ってくることがなかった。

“俺がお母さんの代わりに死ねばよかった、俺が代わってやりたかった!”

そう言ってお父さんが泣き崩れるとみんな一斉に声をあげて泣いた。

涙が溢れ出してきて止まらなった。

世界は光を失い、薄暗く霞んでいくようだった。

ずっとずっとこの日が来ることを恐れていた。

あなたがいない世界を、あなたがいなくなった家族を想像することがずっと怖かったんだ。

“お母さん、愛しているよ”

”僕をこの世界に生んでくれて本当にありがとう”

どれだけ長く生きるかではなく、
どんな生き方をするか、
最後の最後一呼吸まであなたは僕たちに生きるとは何か、
家族とは何かを教えてくれたね。

僕たちも必死にそれに応えようと正面から逃げずに向き合った。

だから悲しさはもちろんあるけど、誰一人として後悔はしていない。

それぞれが自分に出来ることを探し、本を読んだりネットで調べて勉強し、何度も何度も家族会議を開いて夜遅くまで話し合った。

あんなに必死なお父さんを見たのは初めてだった。

お父さんにとってお母さんは初恋の人、そしてずっとずっと生きる喜びだった。

これから先、あなたの笑顔を見ることが出来なくとも、あなたの体に触れることが出来ないとしても、
母さん、あなたはしっかりと力強く僕たちの心の中に生きている。

泣くだけ泣いたし、恐れていた日は過ぎ去った。

もう力強く前を向いて歩き出さなきゃいけないね。

あなたにもらった大きな愛を、僕たち家族はこれから出会うたくさんの人々に返していこうと思ってる。

そしてこれからも自分らしく自由に毎日を楽しんで生きていこうと思っているよ。

 あなたは世界でたった一人の僕のお母さん

 僕を生んでくれて本当にありがとう。

 死は時として、誕生よりも力を与え人の心を動かすこともある。

後悔したり悲しんだりするエネルギーがあるのなら、その分その人のことを思い出してあげればいい。

世間では不幸でマイナスな出来事として扱われてしまう死というものを、逆に表現することによって多くの人に勇気を与え、たくさんのメッセージを与えられると僕は信じる。

きっと母もそんな僕らしい生き方を誰よりも望んでいるに違いない。

そんなわけで、2008年11月1日(土)に荻窪にあるlive bar 「BUNGA」 にて自分自身の波乱万丈な生涯を描いたセルフストーリーオペラを敬愛するアーティストのAKIRA(杉山明)さんとやります。

僕がこの世に生まれてから、満たされなかった少年時代、人生を変えた初海外のインド、激動のキックボクシング時代から3年半に及ぶ世界放浪、そして大好きだった母が癌に、母からのメッセージを受け取らなかった父までも癌に、様々なものを乗り越え許し合い、ようやく家族が一つになれた沖縄旅行、そして母の死、そして…..

これをAKIRAさんの魂の歌と合わせて吐き出していきます。
(途中でプロジェクターを使っての沖縄旅行、世界放浪の写真を流していきます)

生きるということ、すべての生命には死があるということ、家族へのありがたみ、夢を持つこと、そういったものを魂に刻み込むためにAKIRAさんのライブに生前から足を運んできた。

その度に自分の気持ちに正直になれて、お母さんにありがとうって素直に言えたし、諦めないでもう一度夢を追いかけようと思えた。

僕はこの人のおかげで自分の心に素直になれて、自分らしく生きることが出来た。

今僕の中には確実に母親の魂が生きづき、みなぎる力で溢れている。

今回は母の追悼ライブ、お線香をあげに来るつもりで出来るだけ多くの人に来てほしい。

セルフストーリーオペラ「僕を生んでくれた神様」
日時:2008年11月1日(土)
時間:7時半開場 7時45分開演
場所:live bar 「BUNGA」  
JR、地下鉄丸の内線 荻窪駅より徒歩2分
〒167-0032 東京都杉並区天沼3-1-5 サン建設ビルB1
料金:2000円(ドリンク代は別)
予約、問い合わせ⇒watarigarasu163@yahoo.co.jp

 今回はセルフストーリーオペラとして最初からストーリーが進行していく形をとりますので、出来る限り遅れることなくいらして下さい。

  予約は定員の60名を超えたところで打ち切らしていただきます。(※AKIRAコメント:今日現在予約70名を越えてますが、100名までははいれます)

人が人の心を動かし、出来るだけ多くの人の心にお母さんの愛が届くことを願っております。

心に響くものがありましたら出来るだけ多くの人に伝えて下さい。

Bringer of the light     Dai

考えただけで自然と涙が溢れ出して来て止まらなかった。

★オレはあえて写真家Daiの文章だけをのせた。
でもDaiのホームページで、美しい写真とともに原文を読んでほしい。
http://ameblo.jp/watarigarasu163/entry-10150557609.html

イラスト.jpgDVD盤面にやよいが描いたイラスト!

※オペラ「命の火」のDVD注文がどんどんやよいに届いている。
今日やよいからの電話で、「いつぐらいに発送できますか?」ときた。
オレは昨日徹夜でDVDのジャケと盤面のデザインをした。
yayoidvdjac.jpg

たぶん明日矢古宇さんから原盤がとどくので、
デザインと合体してやよいに届くのは28日(火)、
やよいが車椅子で郵便局に発送にいくのが29日(水)、
あなたのもとへ届くまで2日くらいみると、31日(金)にはオペラ「命の火」が見られると思う。
これは最速の予想なので、11月3日(月)のオレが沖縄行きの飛行機に乗るまでには絶対届けるぞ!

この21世紀最高のやよいオペラを見逃してしまったあなたに朗報です!
撮りたてほやほやのオペラ「命の火」DVD(撮影:矢古宇)を2000円で発売します!
障害者年金で作業所に通って細々と生活するやよいの「行動費」にもなります。(今回の大好評で地元山形でもやよいオペラのオッファーがきました!)
AKIRAライブにきた人にも、ぜひセルフストーリーオペラのすごさを知ってほしいのです。オレが発明し、今後どこへ向かうかわからないほど熱気を帯びた「創作が立ち上がる刹那」をあなたに知ってほしいのです。
「命の火」をあなたもやよいと同じようにもっていることを、はらわたの底から実感してほしいのです。
やよいも「世界とつながってる」、「誰もひとりぼっちじゃないんだ」と実感できる。

購入希望者は、枚数/住所/氏名/電話番号を明記の上、やよい宛にどしどしメールしてください。(やよいは変なところで律儀だから(笑)、いつ発送しますとか、もし遅れたときは途中経過のメールをくれると思う)

nekotalo@ir.namaste.jp

やよいから商品と郵便振込先を送ります。商品が届きましたら2000円(+送料200円)を一週間以内に振り込んでください。振込手数料はそちらでご負担してください。
今月末には、「生きる力」がきみのもとにとどきまーす!!!(初版はプレミアムつくぞー!)