打ち上げパーティー | New 天の邪鬼日記

New 天の邪鬼日記

小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 たくさんのコメントをありがとうございます。
 たったひとつの歌でもこれだけ豊かな受けとり方があるんだと驚きました。そうやってみんなにオレをは支えられているんだなあと、あらためて感謝します。

 では後日談のつづきを。
 オレはタケちゃんを驚かそうと警察の方がそっちへいくということをあえて知らせなかった。
 あんのじょうタケちゃんは玄関で警察手帳を「たて」に開けた高根沢さんに驚き、奥の部屋に通した。
 だいたいオレと同じ質問をされ、タケちゃんは友好的に答える。
 と、なにやら異臭に気づいた。
「しまったー、カツオがこげてるー!」
 台所に飛びこんだタケちゃんは黒こげになったカツオを悲しげに見おろす。せっかく楽しみにしていたカツオのたたきが……。
「だいじょうぶですか」
 人のいい高根沢さんが申し訳なさそうに言う。
 高根沢さんには悪気がないのはわかっている。しかしやり場のない怒りをどこにぶつければいいのだろう。たとえどんなに誤解されてても自分たちの信じる歌を歌いつづけますという意思表明がこんがらがって、タケちゃんの口から飛びだした。
「ううーもうー、何度こげても魚は焼きつづけますよー!」
 さすがの鬼刑事もこれには笑ってしまったという。
 自分たちの作品が警察まで動かしたということが、オレは正直言ってうれしい。
 「Eejanaika」伝説も生まれたし、アーティスト冥利に尽きるのである。

 昨日は東京横浜ライブのスタッフ打ち上げがトシ邸であった。
 たこ焼きやお好み焼き、イチゴケーキやアップルパイなどすばらしい料理がならんだ。最後は酔っぱらったタケちゃんとアニオの爆笑プロレス大会になったが、スタッフのひとりひとりと深い話ができたことがうれしい。
 オレは心の底からいっしょに祭をつくりあげた彼らを誇りに思う。
 大地の母のごとくみんなを引っぱってくれた隊長ピリカ。
 多忙ななかメールの申し込み返信や40分も会場がおくれたことをお客さんに詫びたり、五臓六腑の活躍をしてくれたキミ。
 持ち前の明るさと大らかさであらゆる困難を乗り越えさせてくれたアニオ。
 冷静沈着かつあたたかい愛情でみんなをつつんでくれたノッポさんことトシ。
 繊細な気配りとマザーテレサなみの無条件の愛でみんなの心をつないでくれたアイリン。
 寡黙ながらも深い思慮でさまざまなことを気づかせてくれたマサキ。
 パワフルかつ愛くるしい笑顔で走りまわってくれたアヤ。
 抜群のセンスで虹色の布と魂を象徴する風船をつかいグラスルーツを魔法の空間に変えたミズホ。
 手染めのヒモや布をつくりおだやかな笑顔と幅広い知恵で導いてくれたマユミさん。
 遠くからきた旅人を10数人も実家に泊めてくれた魂の兄弟ダイ。
 あたふた駆け回りながらもやさしい笑顔でサポートしてくれ、インド行きを決定したトモ。
 今回はじめてすばらしいと納得できる映像作品を記録したハイビジョン鈴木。
 ここにはこられなかったが、北海道にいるイサ。
 音響をやってくれたシンヤ。
 ピリカを支えてくれたナオ。
 無償のやさしさでサポートしてくれる江古田倶楽部のマスター。
 ミュージシャンを心から思いやってくれるグラスルーツのサマさんとスタッフたち。

 ライブというのは一本の木に似ている。大地にしっかりと根を張り人々の想いを吸い上げる歌、どっしりとした幹で支えるスタッフたち、枝を伸ばして応援してくれる観客たち、ミュージシャンが美しい花を咲かせるにはたくさんのサポートが必要なんだ。
 こうやって大きなイベントを終えると、つくづくたくさんの人に支えられてるなあって思うのよ。
 100万回ありがとうを言ってもたりないから、オレたちは作品で応えなくてはならない。
「何度こげても魚は焼きつづけますよー!」