「祈りプロジェクト、連発してまずいんじゃないですか?」
というメールをもらう。
たしかにヤバイのだ。
世の中に病気の人はいっぱいいる。100万人のガン患者に「わたしのお母さんに、噂で聞いた祈りプロジェクトをやってください」と言われても不可能である。
「わたしのお父さんがガンで」というメールをもらうと、「祈プロ」はやらず、個人的に祈ることにしている。
朝起きて仏壇を開けると、「ババ、トト、キヤーペ、クオーモ(死んだ両親や猫たちの名)、お願いします。Daiのお母さんとマキとヤヨイとハルカとみんながよりよくなりますように」などと祈る。
むむ、しかしDaiのお母さんだけ会ったことないし、顔が浮かばない。
つーわけで、また突然いってきちゃいましたー!(笑)
Daiのお母さんはツネちゃんという。
「全国から送られてくるメールを読ませてもらったら、すっごいうれしくて、もりもりと力が湧いてきたんです。昨日からもう食事もとれるんです」
ツネちゃんはずっとボランティアで障害者や高齢者に水泳を教えてきた。60歳をすぎてからホノルルマラソンやボストンマラソンに挑戦し、トライアスロンまでやる。
「よく息子の試合を見に行ってたでしょ。おもしろそうだからジムでわたしもキックボクシングをはじめちゃったのよ」
こんなことを天然ボケを噛ましながら笑顔でしゃべる。て、鉄人だあー。
「今まで健康を当たり前だと思って暮らしてきたんだけど、病気になっていろいろ気づかされたわ。とくに家族の大切さにね」
ツネちゃんは家族の交換日記を見せてくれた。
お父さんをはじめ、Daiや、Daiのお姉さんやインド人の旦那さん、小学6年になる娘さん(ツネちゃんにとっては孫娘)が幼い文字でこう書いていた。
「おばあちゃんが家にいないとギャグがきけないのがさみしいです。早く元気になってたくさんギャグをとばしてください」
そうそうツネちゃんはむっちゃ明るくて、大らかで、家族の元気の源なのだ。
「ほんとうに家族はわたしの宝物です」
そうキッパリと言い切っちゃうツネちゃんがすごい。
オレは終始笑わされながら、確信したね。
直るわ、この人。
家族をはじめ、ツネちゃんの笑顔を必要としてる人がたくさんいる。こうやって惜しみなく愛を与えてる人はまだまだ生かされるね。
「おかげで元気になりました」
「いやいや、どっちが病人かわからない……つーか、こっちこそ元気をもらいました」
ツネちゃんが退院したら、いっしょに石垣島のトライアスロンに挑戦しよう。