ネアリカ合宿 | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 9月16日(土)
 ひさびさのネアリカ合宿である。
 ネアリカの第一回生であり、祈りプロジェクトでガンから生還した50歳の大学生明子さん率いる早稲田チーム7人がやってきた。
 前回みごとなネアリカを仕上げたサークル「ぶんぶん」部長のまゆ、副部長の角、正宗たちと、卒業制作につくる幅4メートルにおよぶネアリカの下絵を考える。
 彼らの考えたテーマは「Link togather」という。これって、最近オレが日記で書いている、「すべてはつながっている」、「ひとりぼっちじゃない」、「ミタクオヤシン」(ラコタ族の言葉で「わたしとつながるすべてのもの」)とシンクロしてるじゃん!
 オレのネアリカ自体もボランティア550人が参加したコラボレーション(共同製作)だし、このテーマにぴったんこなのだ。そこで今回のネアリカもたくさんの人に参加してもらおうと下絵を考える。
 大隈講堂や大隈重信の銅像をいれようという案もでたが、あまり絵を早稲田ネタに限定してしまうと普遍性を失うというのでボツ。
 そこで4メートルを3枚のキャンバスに分け、左が「朝」を象徴する太陽。真ん中が「昼」を象徴する虹。右が「夜」を象徴する月。そこに文学部のシンボルであり、アイヌの守り神であるフクロウを月にとまらせた。
 バックを15センチ角のグリッドにくぎり、不特定多数の参加者たちに自由な絵柄を貼ってもらう。
 参加者150人が自由に描いた絵が1枚の巨大ネアリカに合体するとどんな絵が生まれるのか?
 ううむ、壮大な試みだなあ。予想もつかないところがむっちゃ楽しみである。
 今回ネアリカ初参加の3人は新しいネアリカをつくる。ミドリが描いたハロウィン風のブラックな絵柄がポップでかわいかったので、採用された。
 直樹は一発でグラデーションの法則をマスターしみごとなバックを貼っていく。
 まっつんは1年生で中国拳法部部長であり、ギャグマスターである。寒暖の激しいジョークをふりまきながらもとちゅうで飽きてジャンプを読み出している。ところが自分の描いたお城がバックに採用されるとがぜん元気になり、最後は誰よりも熱中してしまう姿がおかしい。はっはっは、わかりやすいやつ。ネアリカの魔法を思い知ったか。
 北海道からフェリーで息子星太(小2)をつれやってきたアコと、千葉からアオイも参戦し、コワかわいい「ハロウィンのカムイ」が完成した!!
0609早稲田2前列左から、まゆ、正宗、角。後列左から直樹、ミドリ、まっつん、アオイ、アコ。

 完成祝いの宴だ。
 マラソンを完走したようにみんないい笑顔をしている。もう少し早く終われば、コミュニケーションをテーマにした「しゃべり場」トークをやろうという予定だったのだ。大学生はどうしても学生同士のつき合いが中心になってしまう。しかしオレのまわりに集まる人間は種々多様で、異種混合コミュニケーションが図れるからおもしろい。
 しかも今日はラッキーなことにオレが師匠と仰ぐアコとアオイがいるではないの。なぜ「師匠と仰ぐ」かというと、オレの100倍くらいの苦しみをくぐってきたからだ。
 16歳で子どもを産んだアコはリスカをくりかえし、のどにナイフを突き刺して死のうとした。アオイも統合失調症に苦しみ、なんども死線をさまよっている。この夏、見知らぬ同士のふたりは蔵王ライブ、一万年祭、札幌ライブにかけつけ、今では見ちがえるほど生き生きと輝いている。
 オレの価値観は世間とまったく逆だ。
 オレは早稲田組を心配してしまう。憧れの名門早稲田に合格した彼らは社会のメインストリームの頂点に立つエリートだ。社会から与えられたものさしに合わせ、すべてをなげうって勉強してきたのに、それらのものさしがまったく役に立たない新しい時代がはじまっている。
 歴史のパースペクティブでながめると、前の時代に虐げられていた者たちがつぎの時代のトップランナーになるという法則がくりかえされている。
 ということは、この時代のトップランナーがつぎの時代では流行おくれのビリっけつになってしまうではないか。
 これからは競争から共生の時代になる。他を押しのけて勝ち上がるより、自らの痛みをとおして他者に手を差しのべられる者が必要になるんだ。
 そういうわけで、オレは早稲田の連中が心配だったのである。
 ところがオレの心配は杞憂だったことをあらためて思い知ることになる。前回のネアリカは日帰りだったし、あまり話す時間がなかったが、今回はひとりひとりと話すことができた。
 親子関係、人間関係、夢と現実、将来の不安、みんなそれぞれの痛みを抱えているし、自分や他者に謙虚に向き合おうとしてるやつらばかりじゃん!
 まゆ、正宗、角、直樹、ミドリ、まっつん、先輩づらでエラソーなことを言ってすいませんでした(土下座)。「エリート」などというカテゴリー分けして、差別してしまったのはオレのほうです。オレなんかより、君たちはすばらしい感性をもってるぞ。堂々とまちがえ、胸を張って傷つき、自分の信じる道をぶんぶん行きなさい。

※10月6日(金)と13日(金)の午後3時くらいから早稲田でネアリカのワークショップとAKIRA講演会(無料)を開きますので、一般の方もどしどし参加下さい。くわしい日時と場所は決まりしだいブログで発表します。