9月30日(日)
宇都宮で毛糸を仕入れていたら、ネアリカワークショップに5分遅刻してしまった。
さっそく生八つ橋をみんなにくばり、食べ物でごまかす。
いつものようにグーパージャンケンで2つのグループに分かれてもらい、それぞれにテーマを出し合う。スタイリストやアクセサリーデザイナー、空間デザイナーやセラピストなど、クリエイティブな仕事をしているしている人が多かったせいか、下絵もいい感じだ。
「ここ何十年も絵なんか書いたことのない」という人や、年齢も20代から50代と幅広いが、ワークショップ2回目のベテランもふたりきてくれたし、公募作品を3枚つくった人もいるし、チームワークは抜群である。こうしてまったく利害関係のない場所で、無心になって同じ作品をつくっていく。
みんなが子供のようにものをつくっている姿を見るのが、オレの楽しみである。キラキラと目を輝かせ、手をボンドだらけにして、創作の喜びに浸るなんて、日常では忘れていたぜいたくな時間だよね。
ネアリカワークショップはあと3回きりなので、このぜいたくな時間をぜひぜひ自分で体験してみてください。
10月7日、21日 、28日(いずれも日曜日)の13~17時(参加費1000円)。予約なしで突然きてもだいじょうぶですが、できれば「ギャラリー悠日」HPよりメールでご予約ください。
できあがった作品もネアリカワークショップ史上ベスト3にはいるくらいの傑作だった。
ひとつは「渦巻きと蝶」。
もうひとつは「太陽と一つ目人間」。
ワークショップも終わり、小雨がちらつくなか夜のとばりがギャラリー悠日を覆いはじめる。
黄昏(たそがれ)時の語源は、「誰ぞ彼(たれぞかれ)」である。人の顔がはっきりわからない薄暮で、魑魅魍魎が跋扈(ばっこ)する時間でもある。
薄明かりのなかにひとりの女性が現れた。
誰ぞ彼?
う、うわー、でたー!
オレは腰をぬかさんばかりに驚いた。
「ヒ、ヒ、ヒ、ヒロミちゃん!!」
photo by kato
祈りプロジェクトでみんなに祈ってもらった札幌のヒロミちゃんが宇都宮のギャラリーにいるとは、信じられない光景である。
乳ガンからリンパ、全身へ骨転移したガンを抱えるヒロミちゃんは、札幌のライブにも鎮痛剤を打たなければこられなかった。しかし今はひとりで宇都宮にきた。
すごいことだよ、マジで。
涙がでるくらいありがたいことだ。
ネアリカにかこまれた会場はなぜか教会を思わせる。
闇の中に浮かびあがる極彩色のネアリカがステンドグラスのようだ。オレがおとずれたメキシコ・ウイチョル族の教会も同じ雰囲気をもっていた。
今日のライブは完全生声、ノーマイクという挑戦である。
こたつライブなどはマイクなしでやったこともあるが、これだけ大きな会場ではたして声が届くのだろうか?
「焚き火を囲んだ部族の集会だと思って聴いてください」
観客に選んでもらったリクエストのなかから曲を選ぶ。ふむふむまず一曲目はこれだな。
1.ミタクオヤシン
いちばんまえに座ってもらったヒロミちゃんをみんなに紹介する。ライブに集まってきた観客のなかにもオレのブログでヒロミちゃんを知ってる人がたくさんいて、みんな驚いている。
「みなさんの祈りがとどいてから、不思議と痛みが治まったんです。ブログを読んだみなさんにもありがとうと伝えてください」
祈りプロジェクトは、魔法でも迷信でもない。まず病気になると「なぜわたしだけがこんな不幸を背負わなくてはならないの」と孤独になる。しかし全国から励ましのメールがとどき、「ひとりぼっちじゃない」、「すべてはつながっている」と気づいたとき、自己治癒能力をせき止めていたブロックがはずれる。自分とつながるすべての者に感謝する気持ちが生まれるんだ。
2.ソウルメイト
ここでオレはピアノに移動する。観客は右奥で歌うオレの歌を聴きながら オレのうしろにあった「梟(ふくろう)のカムイ」を凝視する。アイヌの「コタンコロカムイ(村の守り神)」であり、世界中の先住民のあいだで知恵の神様と崇められる梟は、羽を広げ、足爪で脳を開いていく。
photo by miyuki
3.愛を知らない子どもたち(ピアノ)
4.青空のむこう(ピアノ)
5.老人と海
6.だいじょうぶマイフレンド
前回も演奏してくれたコウヂ(北千住「COSMICSOUL」店主)がシベリアの口琴と喉歌ホーメイを響かせてくれる。そして摩訶不思議な楽器「ハング」を演奏する。
コウヂのハングにぴったりな曲を急に思いついたので、いきなりコラボレーションする。台湾でつくった新曲だ。
7.ばあちゃんの手(AKIRA:ボーカル、ギター。コウヂ:ハング)
photo by miyuki
今日は出版記念もかねていたが、めるくまーる社の太田さんが母親の看病でこれず、発行人の西くんが中禅寺湖まできたがドライバーが体調を崩して会場にたどりつけなかったという。コウヂの演奏をバックに「アジアに落ちる」の新しいあとがきを全文朗読した。
8.「アジアに落ちる」(AKIRA:朗読、ギター。コウヂ:口琴、ハング)
9.旅立ちの歌
10.レラ
11.祝福の歌
12.家族
今回のアンコールはこの曲しかないでしょう。
だって本人が目の前にいるんだもの。ヒロミちゃんをステージにあげ、オレの横に座ってもらう。祈りプロジェクトを説明し、会場全員で祈ってもらう。ヒロミちゃんは手を組み、自分ではない他者に祈りを捧げていた。
photo by miyuki
13.祈りの歌(アンコール)
今夜君は苦しすぎるから
病院のベッド 点滴のバッグ
嗚咽噛み殺す
誰か気づいて わたしに気づいて
軽すぎる命 重すぎる運命
嘆きつづける
おお不幸なる者よ
おお幸いなるかな
ぼくたちは歌う 君に歌う
すでに君は守られてる
さあとどけ 祈りの歌
君の胸へと突き刺され
さあひびけ 祈りの歌
慈悲の涙で地を満たせ
ライブが終わった瞬間、まさにここが部族たちの教会になった。
オレはよく心というものをこうたとえる。
「巨大なピラミッドの上に、コンビニのおにぎりがのっているのを想像してください」と。
おにぎりの大きさは7センチくらい、ピラミッドの高さは約140メートルと、2000倍もある。
おにぎりを支配してるのは「自我」もしくは「エゴ」と呼んでもいい。物質至上主義に洗脳されたオレたちは自分自身や心を、おにぎりだけと思いこまされているんだ。
ところがその下に大ピラミッドがあるのよね。
ピラミッドに住んでいるのはきみの知らない「もうひとりのきみ」だ。
それはさまざまな名前で呼ばれてきた。
「魂」、「神様」、 「サムシンググレート(大いなるもの)」、「天使」、「メッセンジャー」、「ハイヤーセルフ(高次の存在)」、「光の存在」、「マスター(導き手)」、もしくは「無条件の愛」などだ。
「もうひとりのきみ」は一度も死んだことがない。
きみの肉体が滅びても、また衣装を着替えて、無限の宇宙を旅しつづける。
「ピラミッドとおにぎり」
これが心の正体だ。
しかしオレたちは忙しい日常に追われ、ゴミのような情報を詰めこまれ、物質教育をたたきこまれ、健忘症にかかってしまった。
「神様」は戦争の道具に使われ、「サムシンググレート」はニューエージの金集めに使われ、「無条件の愛」は恋と混同され、独占欲や執着を愛とかんちがいする。
ピラミッドはペットボトルが散らかる砂漠に埋もれ、ちっぽけなおにぎりだけが自分自身だと思いこんでいる。
「他者のために祈る」ことによって、長年無視つづけてきた「もうひとりのきみ」に再会できたのだろう。
ヒロミちゃんは奔流のように突きあげてくる感謝の涙を何度のぬぐったという。
しかもみんなの祈りのせいか、チョー元気になっちゃったのよ。宇都宮のホテルをキャンセルし、日光の幾何楽堂へいくことになった。小坂さんをはじめ、スタッフの美雪、みっちーと打ち上げをし、オレが疲れてダウンしたあとも、みんなと夜中の3時半までわいわいやっていたという。
ううむ、祈りの効果、恐るべし。
みなさん飲み過ぎ食べ過ぎ、
「祈りすぎ」には注意しましょう。
★つぎのライブは10月7日(日)18時からです。なんとまたまた小川トールが北海道からかけつけてくれるという電話がはいったぞ。(北海道の人ってなんなのよ)
前売り1800円、当日2000円なので「ギャラリー悠日」HPよりメールでご予約ください(200円の差は大きいぞ)。巨大ネアリカにかこまれながらライブを聞ける聴ける奇跡のようなシュチエーションをお見逃しなく。
★その前日10月6日(土)は新宿ネイキッドロフトで「いたいのいたいのとんでけライブ」がある。東京でのライブはひさびさなので、どどっと友達を誘ってきてください。
NHKテレビ「福祉ネットワーク」などでおなじみの「こわれ者の祭典」からアイコちゃん、絵描きの清水友裕によるコラボレーションライブです。
死や別れ、手首の傷や薬物、悲しみと向き合ったら、命や生きることの意味が見つかった。命のあたたかさを届けます。あなたの心の「いたいのいたいの、とんでけ」
出演:AKIRA(作家、ミュージシャン)、アイコ(こわれ者の祭典)、清水友裕(絵描き)
会場:新宿ネイキッドロフト(東京都新宿区百人町1-5-1百人町ビル1F)
前売り\1,300 当日\1,600 (チケットは8/1よりネイキッドロフト店頭にて発売開始!)
開場18:00 / 開演19:00
問い合わせ:ネイキッドロフト(03-3205-1556)
★10月14日(日)焼き物の里 益子「土空間」ライブ
18時開場 19時開演 前売り2000円 当日2500円(1ドリンク付き)
予約お問い合わせ:0285-72-3600(カフェKENMOKU)
栃木県芳賀郡益子町益子3053-3(見目陶苑内)
アクセスはこちら。
または 「益子観光情報」を見てください。
宇都宮駅よりバスを利用
JR宇都宮駅西口バス停より
東野バス益子行き・・・約65分
タクシーを利用
東口より乗車・・・約35分
車の場合
[東北道]栃木都賀JC-北関東道経由-宇都宮上三川IC→真岡→益子
[常磐道]水戸IC→笠間→益子
電車の場合
真岡鉄道益子駅下車
土と陶器と創作の空気が凝縮されたむちゃくちゃいい空間です。陶芸の街を見物しながら、ゆったりとした時間に浸ってください。
★江ノ島ライブも主催者のユミとスガちゃんが日光へきてくれたので、詳細が決まりまった。昼間は鎌倉と江ノ島水族館などを観光し、夜はライブというぜいたくな一日が過ごせますよ。
11月4日(日)江ノ島「オッパーラ」ライブ
開場18時。開演19時。予約2000円。当日2500円(1ドリンク付き)
※予約のメールはあとでつくります。
窓の外には「湘南の海」と「江ノ島」そして「富士山」。三拍子そろった大パノラマが見渡せます。和食からアジア、メキシコのFOODにITALYの「ムセッティ・コーヒー」が自慢です。カクテルをはじめアルコール類も各種取り揃えています。
「OPPA-LA」小田急線片瀬江ノ島駅から徒歩3分
藤沢市片瀬海岸1-12-17さまりやビル4F
電話 0466-54-5625
e-mail oppa-la@mta.biglobe.ne.jp