日光家族ライブ | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

7月26日(土)
「家族の日」って知ってた?
正確には「親子の日」といい、写真家のブルース・オズボーン氏が提唱した。
この日に家族ライブをやろうと、MP(ミッション・ポジティブ)の環樹さんから提案があった。はじめは親を連れてくる企画だったが、「すべての出会いが魂の家族」ということで、MPスタッフのねぎらいと、秋に取り壊される築80年の我が家でアルバム「家族」(試聴)発売記念もかねて、オレの家族と魂の家族の交流ライブになった。
会場の我が家で、おじいちゃん、おばあちゃんが暮らし、おやじやオレもここで生まれた。
日光警察署前の家屋はハーバード大学と同じアイビーリーグのつたにおおわれ、癒しのための観葉植物ではなく、勝手につたが玄関まで侵入してくる。
オレの家は天然植物園か!!
080726玄関葉っぱ.jpgphoto by MIYUKI

オレの引越し先はまだ完全には決まっていないが、秋には取り壊される予定である。この家で生まれ死んでいったオレの家族にも感謝を捧げるライブでもあるが、参加者たちにも自分と家族とのつながりを再認識してもらうような内容にしたかった。
今オレが描いている油絵シリーズも家族をテーマにしている。2メートルもある3枚をバックにならべるという、ライブハウスでもできない豪華な舞台装置だ。オレは今日のために3枚目の新作を少しでも完成に近づけようとお通夜ライブや葬式ライブのあともひとり黙々と3日間徹夜で描きつづけてきた。
北海道からドラムのジョニーさん、名古屋からピアノのノリちゃんも到着し、ベッドルームの8畳間が見たこともない異空間に変わる。
080726ライブ1.jpgphoto by MIYUKI

ノリちゃんのピアノとは初競演である。ノリちゃんはプロのキーボードプレーヤーとして活躍し、1000人規模イベントのテーマ曲をつくるなど、作曲家、アレンジャーとしても凄腕なのである。ただアカデミックな音大出身者の音楽界に限界を感じていた。1年ほどまえオレのライブにきて、カルチャーショックを受ける。感動のあまり泣き出す観客や、人々の生き方まで変えてしまうライブがあるなんて想像すらできなかったのだ。
「今までわたしがやってきた音楽はなんだったんだ? その場だけを楽しんでハイ終わりじゃなく、音楽には根源的な気づきや変革を与えるようなもっともっと大きな力があるはずだ」
以来ノリちゃんは音楽のみで生きているギャラをやりくりして、新潟や静岡、伊豆や東京のライブに名古屋から18切符でかよってきた。
そしてついに今日初めての競演を果たしたのだ。
080726nori.jpgでたー! 背後霊とノリちゃん。photo by KIYOMI

ドラムのジョニーさんは星一徹のごとくノリちゃんにアドバイスした。
「譜面より、アキラさんの呼吸に合わせろ。サビのまえにはタメがはいり、肩があがったときは必ずつぎに強いアクセントがくる」
おおー、オレはそこまで研究されていたのね。ジョニーさんは沖縄空手の達人だが、もはや音楽というより合気道とか武道に近い「見切り」である。
昨日はマヤ暦の正月だし、マヤの聖数13という仲間が集まったのも意味があるだろう。700人の葬式ライブだろうが、13人のプライベートライブだろうが、人々に歌を届けるというのは「永遠と刺違える」(志田さんの言葉)ような命がけの行為である。オレの唯一のプライドは、「命を削って歌わなかったライブは1度もない」ということだ。1曲1曲を「今ここで死んでもいい」と歌っていることだ。

1、 ソウルメイト
2、 Sorry
3、 愛のカタチ
4、 朗読「COTTON100%」
5、 おさない瞳
6、 Life is beautiful
7、 Hello my mom!
8、 ばあちゃんの手
9、 背中
10、 たったひとつの命
11、 家族
12、 祈りの歌(アンコール)

アンコールは「あと数日の命」と宣告された魂の家族、梅ちゃんに「祈りの歌」を捧げた。ラストでみんな手をつなぎ、合唱した。
メキシコでは死者の日(11月1日)を飲めや歌えやで、死者と生者がいっしょに楽しみまくる。
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北海道からきたあおいの誕生日を手作りのケーキで祝い、
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みんながそれぞれに持ち寄った手作り料理を食べる。
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死んだうちの祖父母や両親もさぞや喜んだことだろう。

日が暮れてから中禅寺湖にあるインド人経営の温泉ホテル「アジアンガーデン」に移動し、修学旅行のような宴がつづいた。

翌朝、ホテルの屋上から晴れわたった中禅寺湖と、
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エロいくらいの緑が噴出す男体山をながめる。
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金谷ホテルで1晩じゃなく100年寝かせたカレーを食い、怪しい団体は敷地内にあった木に祈る。
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木いわく、「てめえら集団痴漢かあっ! 勝手にさわってんじゃねえよ」
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竜頭の滝を観光し、
080727johnny.jpgphoto by KIYOMI

イタリア大使館別荘付近でいい大人がスイカ割りに興じる。
080726suikawari.jpgphoto by MIYUKI

血のつながった家族を失っても、魂のつながった家族がいる。
彼らはオレが氷河期のベーリング海峡を越えて出会った部族かもしれない。