大宮「ARCAS CAFE」ライブレポート | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

 10月21日(土)
 愛と欲望の大都会、大宮の路地裏にアルカス・カフェはあった。
 プエブロ族の赤土の家みたいな外装と木をイメージした手作りの内装は、そこだけ時間が止まったようにやさしい磁場をつくりだしていた。
 オーナーのマーくんが笑顔で迎えてくれる。スタッフのユミ、ヒロ、チエもむっちゃ自然体であたたかいのよね。
「まずはコーヒーでもいかがですか」
 オーダーがはいってからオーナー自ら豆を煎り、時間をかけていれてくれるコーヒーは極上の香りを立ちのぼらせている。朝からなにも食べてないと言うと、有機野菜のベジタブルカレーと玄米のタコライスまでつくってくれた。これがまた美味いのよ。作り手の愛情がこんなにダイレクトに伝わってくる料理はひさしぶりだ。
 そこに集まってくる客たちもおもしろい。入れ墨師のミュージシャン太知やディジュリドゥー奏者のソウイチロウなどにさっそく参加してもらうことにする。
 観客は床に腰をおろし、村の公民館のように家族的な雰囲気だ。今回の曲順はこんな感じだ。いきなり「Beautiful」の出だしが心地よいスペースに響く。
 「好きだ! ずっと言えなかった」

1、Beautiful
2、Unconditional love
3、心がくしゃみをした朝
4、いたいのいたいの飛んでけ
5、ムーンタイム
6、Hallo my mom
「COTTON100%」朗読。
7、旅立ちの歌
「COTTON100%」朗読。
8、ミタクオヤシン
9、なんくるないさ
10、ぬちどぅ宝
11、Born to love
12、祈りの歌
13、Happy birthday

 ソロライブのいいところはいろんな話をしながらステージを運べる。さながら講演会とライブが合体したように2倍お得な雰囲気だ。静岡から版画アーティストnaoもかけつけてくれたり、宮古島ライブで出会ったあかりは、札幌ライブ、中禅寺湖キャンプ、今回の3連ちゃんライブと全国規模できてくれる。カレーを食べはじめたときに歌がはじまりスプーンをくわえたまま泣いているやつもいる。
 「COTTON100%」朗読と「ミタクオヤシン」はソウイチロウのディジュリドゥーがはいり、いいタイミングで盛り上げてくれる。
0610大宮1
 主催者の加蓮がトイレ大爆発の話で会場を笑わせ、沖縄のサンシンで「なんくるないさ」をサポートしてくれた。太知のホーメイもはいり、会場はノリノリである。
 つぎはあるカップルが登場する。
「この人たちは誰でしょう? 見覚えないかな」
 オレが訊くと会場から驚きの声があがった。
「あっ、ブログの絵にでてた新婚さん?」
「当ったりー!」
 オレはウエディングマーチを口ずさみながら窓に仕込んでおいた絵の除幕式をする。
「来月結婚式を挙げるエツ&トシで~す」
0609エツ&トシ4
 会場から祝福の拍手がおこり、ふたりは顔を真っ赤にして照れている。
「これでもう離婚できねえぞ」オレが言う。
 加蓮もサンシンでくわわり、4人で「ぬちどぅ宝」を演奏する。加蓮もプロの歌手だし、オレよりずっとうまいトシが ギターを弾き、エツがびっくりするほどの美声を響かせた。
 結婚式にはいかないので、オレはふたりに「Born to love」を捧げた。会場はさながら披露宴状態である。
 石垣島のヨウコからもらった黒糖をみんなに配り、「祈りの歌」を歌う。味覚の実感をとおしてより祈りがとどきやすくなるだろう。お母さん久子さんが乳ガンになった茉莉もいっしょに祈る。結婚式からいきなりミサのような厳かな雰囲気に変わる。
 まだまだこれだけでは終わらないのだ。
 数日前こんなメールをもらった。

21日の大宮ライヴは家族4人で予約しました。
メールでこんなお願いするのは心苦しいのですが、
当日は妻の誕生日なので、
もし曲目に HAPPY BIRTHDAY が入っていたら、妻キヨコの名前も末尾に加えていただけると益々すばらしい夜になりそうです。

 オレは喜んで承諾し、「ケーキとロウソクも用意して、もっと驚かそう」と提案した。
 いきなり電気が消えたので、妻キヨコがきょろきょろしていると、夫シロウがないしょでアルカス・カフェのユミつくってもらったオリジナルケーキが運ばれてくる。なかなか憎い演出である。彼らの娘リサと息子シュンタロウも大喜びだ。おまけにもうひとり、観客のメメも同じ誕生日だった。
 オレが「HAPPY BIRTHDAY」を歌いだすとキヨコさんは大泣きである。
 オレのライブにきてくれた人はその場ですぐ友だちになってしまう。シロウの兄と加蓮が中学
で同級だったり、キヨコさんと誕生日を祝ったメメさんともご近所だったという。シロウからきたメールが笑える。

翌朝、シュンタロウが「なんくるないさ」をうたい、リサが「リスト・カッター」(!)を暗誦したりと、しばらく土曜日の感覚が響き続きそうです。

 おおっ、気がつけばはじまってから3時間があっという間である。披露宴ありーの祈りのミサありーの、誕生会ありーの、本当に家族的なライブだった。
 あんまり楽しかったんでスタッフや残ったお客さんと夜中の3時過ぎまでいろんな話をした。
 「ダサイ」の語源が「だから埼玉なんだよ」だが、これからは「ったくおまえ、ダトー!」(だから東京なんだよ)と言われる日がくるね。
 アルカスの仲間たちは最高だったわ。みんな友だちが欲しかったらオレのライブにおいで。職業や年齢を問わず、きみと同じハートをもったソウルメイトたちに出会えるからさ。
0610大宮2
 まさに「すべての出会いが魂の家族」である。