みんなからたくさんの励ましやアドバイスがきた。
本当にありがとう。見も知らないオレの親友に祈ってくれて。
オレは今、すごく大切な忘れ物を思い出そうとしているんだ。
それは……
「他者のために祈る」ということだ。
いつも自分がいっぱいいっぱいで、他人を思いやることなんかできなかった。
恥ずかしいくらい自分のことしか考えていなかった。
「他人の不幸は蜜の味」と言うくらい、悲惨なニュースに麻痺しきっていた。
たぶん人は一生かかって「自意識をイレース」(消し)してゆくことを学ぶ。
「自意識をイレース」するというのは、カリスマや新興宗教の教祖に身を投げだして「依存」することと対極にある。
自分の足で大地に立っていない人の祈りはとどかないからだ。
自分自身の痛みをすべて自分で受けとめたうえで、さらに「他者のために祈る」。
むずかしいことだ。
オレにできるかどうかわからない。
ただ、運命の見えない力がオレの髪の毛を鷲づかみにして「見ろ!」とそこへ連れていく。
逃げることはできない。
それがどんなに悲惨な現実であろうと、充血した目を見開いて、目を反らさない。
オレがこんなことをブログに書くのは、そしてこの文章を読んでしまった君にも必然なんだろう。
おそらくオレたちは「他者のために祈る」という究極の難問を突きつけられている。
昨日のブログを読んだヨウコからメールがきた。
きょう、病院から泣きながら帰ってきた。
私のがんは、同じ大きさじゃなく大きくなってたって。
鎖骨のリンパも大きいって。手術ではとれないだろうって。
そして、CTで見て筋肉にくっついている部分、
もしかしたら筋肉だけじゃなく骨にも転移している可能性がある。
そうなると筋肉をとり、骨を削る必要があり、
それはただならない手術になる。
筋肉と骨への転移は、胸を開けてみないとわからない。
オレとつきちゃんは、ヨウコを群馬に呼ぶ計画を立てた。
群馬医大は来年から最先端医療の病院に様変わりする。病院の情報収集も大切だが、それ以上にまわりで支えてくれる人の気持ちがいちばんだ。
つきちゃんはヨウコの住むアパートも見つけ、群馬勢は万全のサポート態勢をとっている。
本当にヨウコほど恵まれた病人を見たことがない。
しかも笑っちゃう話があるのよねえ。
今日ヨウコにきたメールによると、 パチンコで20万円もうけたNさんがヨウコに石垣~日光の航空費を出してくれるって。
「それで病気がよくなるなら、AKIRAさんに会いに行ってくださいって!!」
がっはっは、ヨウコはすかさず「使わせて!!!」って返事したという。
オレが石垣にいく交通費も冬姫がだすって言ってくれている。
マジ、涙がでるほどありがたい話だ。
まだ航空券がとれてないので未定だが、ヨウコは11月3日に日光へきて、4日のっぽのトシ家のこたつライブで生の「祈りの歌」を聴ける。5日には早稲田祭のネアリカも見に行けるかも。
「わたしねえ、沖縄とさよならするにあたって、決着をつけたいのよね」ヨウコが電話で言う。
「なによ決着って?」
「沖縄ツアーを敢行しましょう!」
「ええっ、ONSENSライブがボツになったんで、オレは11月と12月はオーストラリアのアボリジニの村にいこうとスケジュールをぜんぶ断っていたんだけど」
どんどん運命の奔流に呑みこまれていく。
「アキラさんのソロでいっぱいライブをしましょう。わたしの冥土のみやげにひと花咲かせようよ」
という、わけのわかんない運命の運びで、沖縄ライブツアーを11月から12月にやって、最後にヨウコの引っ越しを手伝うということになった。
オレのアボリジニをかえせー!
ヨウコはメールにこう書いていた。
命がかかってるが、ライブも決行・引越しも決行。
1ヶ月の治療ロスはあとで響くかもしれないが、
今の私には抗がん剤よりも効くものがあるってこと。
それを証明できるかな!?
証明できる自信はぜんぜんないが、みんながついている。
たとえヨウコがのたれ死んでも、
「わたしほど幸せな死に方はない!」と言わせてやるぜー。
PS 沖縄ツアーのフライヤーをオレといっしょにつくってくれるアドビ・イラストレーターの使い手、急募!!
明日東京にいくので、「無料でボランティアしまっす」という都内もしくは関東在住のデザイナー、あさっての28日(土)にオレがデータをもって君のオフィスに行きます。
できれば電車に乗る明日の午前中までにメールください。(間に合わなければ後日)