「警察から電話があったの」
電話口で妹が言う。
「杉山さんちの屋根が飛びましたって」
「なぜご近所じゃなく、警察なんだ!」オレが言う。
父親殺しの犯人にまちがわれて以来(「神の肉」参照)、オレは監視されているのか?
それとも名曲「ええじゃないか」で事情徴集されたからなのか?
警察はうちに電話してもいないので、妹に連絡したという。
おもてにでて庭を見る。
うおおー、物干し竿は落ち、3メートルにもおよぶ屋根が龍のごとく地べたで身をくねらせているではないの。
はしごをかけ屋根に登る。
あー昨日の嵐がうそのように今日はいい天気だなあ。雪をかぶった日光連山が美しいのうなどとふりむけば、
うおおおおー、さらに道路側のトタンが思いっきり左右にめくれあがってるじゃねえの!
……危ない。
ほんの皮1枚でブリキがぶら下がっているだけだ。こりゃあたとえ目の前が警察署じゃなくても通報してくるわな。
だって、トタンが歩道に飛んで、通行人の首を切断!
生首が車のフロントガラスを直撃して、運転を誤ったドライバーが40人乗りのスクールバスに衝突!
さらに乱気流に乗って日本海(イルポンツク)を横断したトタンが平壌の「主体思想塔(チュチェササンタプ)」を破壊、怒った金日成主席が核ミサイルを発射して、日本全土が廃墟に!
という国際問題に発展する可能性もある……わけないが、
駄菓子菓子、国際問題ではなく、オレにとっては死活問題である。
7日からはじまる高知ツアーのまえに、いやつぎの雨が降るまえに屋根を直さなければ、居間とキッチンが雨漏りの洪水になる。
爆発したトイレを直し、沖縄ツアーで数々の困難を乗り越え、ヨウコのガンを小さくし、ライブレポートも書き終え、膨大なメールを読み終え、さあやっとこれから注文の肖像画と新曲づくりに没頭できると思っていたのに。
数々のライブで涙の雨を降らせたカルマなのか?
西表島で台風13号によって屋根を半分吹き飛ばされたシンゴを笑っていた天罰なのか?
西表島シンゴ家
そこの君、人の不幸を笑ってはいけないぞ。
人を呪わば穴ふたつ、人を笑わば鼻の穴ふけつだぞ。(なんのこっちゃ)
おお神よ、なぜそなたはつぎつぎとわたくしにばかり試練を与えたもうのか?
なぜこのようにおもしろい、いや悲惨な難問ばかりふりかけたもうのか?
それともブログでしばらくライブレポートがつづいたんで、ひさびさに笑えるネタを与えたもうたのか?
わたくしだって人の子です。
人並みの平和と安息がほしいのです。
ウオッシュレットと雨漏りしない屋根がほしいのです。
My GODS……
give me YANE.
Please please give me YANE !