6月23日(土)大宮オペラ「虹の輪」
アルカス・カフェは大都会大宮のオアシス的な存在だ。
オーナーのまーくんはじめスタッフもほんとにいいやつばっかで、大好きな場所である。店のまえにいくと、うおーっ、虹の輪があるではないか!
右がオーナーのまーくん。
「ありがとう、まーくん。わざわざこんな演出までしてくれて!」オレは感激にむせび泣く。
「えっ、これはまえからありましたよ」 まーくんが言う。
「おほん、そういえば以前のライブでも見たことがあるようじゃな」(急に老人口調になる)
「アルカスという名前自体がアルコ・イリスという虹の意味からきてるんです」
ううむ、またさらに物忘れが激しくなったなあ。
とにかくオペラ「虹の輪」を上演するには最高のシンクロであると、我田引水で納得する。
「虹の輪」は石垣島、東京で上演したが、今回は加蓮が演じ歌うオペラなのだ。あくまでオレは助演である。
オレがギターの伴奏を弾き、海亀のティムのセリフを担当するが、自分の脚本を人が演じ、自分の歌を女性ボーカルが歌うというのもはじめての体験である。すっげー楽しみ半分、幼稚園の学芸会で我が子を見守る父兄の心境である。
オレのボーカルぬきで、どこまで歌が伝わるのだろう?
それが知りたかった。
加蓮はプロの舞台女優だし、今日の午前中も出演者50人規模のオペラ「MAGAIMON」のリハをすませてきたばかりだという。
アルカス・カフェのトライバルな雰囲気につつまれて、物語ははじまった。
闇の大王に破壊された虹の輪をとりもどすため、少年イリスが海亀ティムの背中にのり、7つの島をめぐりながらそれぞれの知恵を学んでいき、虹の戦士に成長したイリスは闇の大王に戦いを挑むという神話の元型だ。
1 雲のうえはいつも晴れだから(歌:AKIRA)
2 家族
3 背中
4 旅立ちの歌(歌:AKIRA)
5 Reincarnation
6 alone
7 ミタクオヤシン
8 Hallo my mom
9 Born to love
10 虹の戦士(歌:AKIRA)
11 Happy birthday(歌:AKIRA、加蓮)
加蓮は老婆を模した語り部の声でストーリーをすすめていく。役によって少年や妖怪の声色を使い分けるすばらしい演技だった。
歌も予想をはるかに越えた感動を生んだ。オレはリハのとき加蓮にこう歌のアドバイスをした。
「歌い方は自分のスタイルでいいから、ひと言ひと言言葉のくさびを観客の胸に打ちこんでいくように歌うんだ。そうすれば必ず想いは伝わるから」
観客は固唾を呑んで1時間40分の神話時間に連れていかれる。
「後半は完全にトランス状態で物語の中にはいってしまいました」、「涙をこらえるのがせいいっぱいでした」、などとお客さんの反応もうれしい。とくに加蓮の歌で好評だったのは、「家族」、「ミタクオヤシン」、「Born to love」だ。
オレはお客さんに感謝をこめ、オペラ終了後にミニライブをした。なにしろオペラのギターを弾きながら、「うおおー、オレも歌いてえー!」というフラストレーションもたまっていたからね。
1,Traveling man
2,愛を知らない子どもたち
3,祝福の歌
4,祈りの歌
祈りの歌のまえに、ガン告知から1年を迎えたヨウコにヤスコちゃん(もとタケちゃんの奥さん)からプレゼントが送られた。びっくりしたヨウコがステージにきて、オレがその箱をわたすと大きな拍手がおこった。
ちょうど前日のミクシ日記でヨウコは「誕生日の1日」という文章を書いているのもシンクロだ。「死にかけた半年&見事なまでによみがえった半年=合計激動の1年を振り返って、ものすごいスピードで何年分もの人生をやり終えたような気持ちがした。よくやったよなあ!!」
ヨウコが恐る恐る箱を開けると、美しいタイシルクの衣がでてきた。
ヨウコがガンになった同じ時期に、オレの親友でもある沖縄の女性シャーマン在るさんが乳ガンで亡くなった。在るさんはいつも特注でつくった美しい服を着ていた。タイ在住の服飾デザイナーなおえさんという方の手作りの服だった。
オレは死んだ在るさんがヨウコを同じ乳ガンから守ってくれると思い、ヤスコちゃんと通じて在るさんの形見である服をヨウコにもらえないかどうか聞いてみた。しかし在るさんの服は失われてしまっていた。
そこでヤスコちゃんはヨウコの体型に合わせた新品の服をなおえさんに注文してくれたのだ。ヨウコが好きだという紫にシルクを染めるところからなおえさんの服づくりははじまり、蓮の花の刺繍を手で施し、服は完成した。
なおえさん作、ヤスコちゃん&あの世の在るさんからの贈り物
これでまたさらにガンは小さくなるだろう。