高円寺 無力無善寺オペラライブ | New 天の邪鬼日記

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小説家、画家、ミュージシャンとして活躍するAKIRAの言葉が、君の人生を変える。

3月30日(日)

うおー、なによこの高円寺駅!
駅ビルがホテルになっちゃって、高級中華レストランとかはいってる。その昔高円寺はオレの庭だっただけに、ちょっとさみしい。
とーるとてん屋で天丼を食いガード下の商店街をいけば、むげん堂本店もとなりのレコード屋も健在なのでほっとする。街自体が怪しい高円寺の中でもひときわヤバイ入り口には「無力無善寺」とある。
0803無力入り口

日の丸やら人形やらガラクタでごてごてに飾りたてられた階段を2階へのぼっていく。ドアを開けてさらに驚く。
銭湯のイスが30個もならんでるじゃーん!
共演の月乃さんやゲストのアイコちゃんは何回かここでライブをおこなっているので、へーきな顔でオレたちをむかえる。
スキンヘッドのマスターがまたさらに怪しい笑顔であいさつする。マスターは自ら「無善法師」と名乗り絶叫パフォーマンスをする詩人である。
つぎつぎにやってくるお客さんもビビりながら、銭湯のイスにこしかけていく。狭い会場に50人ほどのお客さんがぎゅうぎゅうにつめこまれるという異様な光景だ。はいりきれないのでステージをギリギリまでさげて、出演者もステージにすわる。
出演者はとーるが北海道、月乃さんやアイコちゃんは新潟、オレは栃木から、客さんは名古屋や長野、栃木や千葉、神奈川や東京など全国規模でこの異空間に集まってきた。
0803無力客photo by PILICA

こわれ者の祭典」のアイドル、アイコちゃんの朗読パフォーマンスから幕を開ける。ときに鋭く、ときにやさしく、緩急をつけてたたみかけるアイコちゃんの魔法に観客はからめとられる。
0803無力アイコphoto by PILICA

2月11日に新潟で上演したセルフストーリーオペラの東京公演である。
「ステージでは絶対涙を見せない」と豪語していた月乃さんが亡くした父に涙し、観客のほとんどが泣いたという伝説のステージだった。今日はとーるが全曲ギターを弾いてくれるので、オレはボーカルに徹することができる。
ぴったりと肩を寄せ合って聞く観客の熱気と絡み合い、とんでもないステージができあがった。
歌っているとちゅうで意識が消え、人々の姿がぼやけていく。
一体となった会場に渦巻くエネルギーが見えた。
肉体や物質がなくなり、そこから発せられたエネルギーだけがゴッホの「星の夜」のようにうねっている。
自分が発したエネルギーを観客が受け取り、何倍にも増加させて返してくる。それをまた自分が倍加させ送り出す。
無数のライブをこなしてきたが、こんな経験ははじめてである。
月乃さんはとーるのギターにあおられ、しまいにはのどをからして叫んでいる。
0803無力ステージphoto by PILICA

オレはイスから立ちあがり、観客のほうへのりだして歌う。
「オレたちをへだてるボーダーを越えろ、すべてはつながってる、すべてはつながってる、すべてはつながってる!」

1、Walking in the rain
2、 Hello my mom!
3、 愛を知らない子供たち
4、 リストカッター
5、 WAR
6、 背中
7、 家族
8、BEYOND THE BORDER

9、明日の地図(アンコール:おがわとーるソロ)
0803無力とーるphoto by PILICA

異界へすっ飛ばされた時間が終わった瞬間、出演者も観客も抜け殻のように放心している。
「ここはどこ? この人たちは誰? いったいなにが起こったの?」
みんなほほを濡らし、我に返るまで少し時間がかかった。
「感動」という言葉さえ色あせるような、すごいステージだったわ。
0803無力涙むせび泣く観客たち。photo by PILICA

昨日も夜明けまでレコーディングをしていて1時間しか寝ていないので、JRの階段から崩れ落ちるかと思うほどエネルギーを使い果たした。

田口ランディさんの出版記念(ミクシィ脱会)パーティーが東中野のポレポレ座であるので、顔を出した。「ミニランディ」こと娘のモモは小学6年になり、ますます「ニクカワイク」なってきてる。
「とーるさんはかっこいいから85点」
「じゃあオレは95点くらいか?」
「アキラさんは41点! 」
「その1点はなんだよ、おい髪の毛ひっぱんじゃねえよ」